一般所得減税が広く叫ばれ、広い支持を得るのは、金を皆に一律にばらまくものであり、誰にとっても得になるように見えるからである。 どこかで資金を調達し、民間にばらまくという意味では、公共事業も減税も同じである。
こうして見れば、減税と公共事業の景気刺激効果についての差も、自ら見えてくるであろう。 公共事業では強制的に資材を買わせ、人を雇わせるために、少なくともその分の需要が現れ、国内総生産をその分引き上げる。
それによる労働者の所得増大は、特に不況が深刻であればほとんどが貯蓄に回されるために、総需要(=国内総生産)に対して当初の公共投資以上の効果は期待できない(図2.3参照)。 これに対して減税とは、お金を無条件に民間にわたすことであり、その使い道は減税を受けた人にまったく一任されているため、そもそも公共事業にはあった当初の資材購入や新規雇用すらないのである(図このことから、減税を行うについてはお金ではなく、通用期間が限られる商品券をわたせばいいという人もあるが、意味のあるアイデアとは思えない。
通常では使わないほど高額の商品券をわたすというのであれば、少しは意味もあろうが、たとえば三ヶ月通用の5万円の商品券をもらったところで、通常の支出のうちの5万円を、お金で支払う代わりにそれで支払うだけである。 そのため、通常の減税とまったく変わりはなく、これによって消費が刺激されるとは考えにくい。
さらに、一時的な減税ではすぐにツケが来ると思って、国民は財布の紐をゆるめないから、恒久減税を行うべきであるという主張が広く展開される。 ちょっと考えればわかるように、一時減税ならツケが来るが恒久減税ならツケはないというはずはない。

減税を行うには、当然まかなう資金が必要であり、それには後の増税か、公共支出の削減しかない。 減税は打出の小槌ではないのである。
もし減税は後の増税でまかなうというなら、一時減税と同様、恒久減税でもいつかはそれに見合った増税が来る。 また、増税ではなく公共投資を減らして減税分をまかなうというのなら、一時減税でも恒久減税と同様に、将来その分の増税が来ることにはならない。
このように一時減税と恒久減税との差とは、単に規模の差なのであり、その効果に違いはないのである。

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